経営

「株式会社ジャパンディスプレイ」と「プライドの壁」

呉越同舟

東芝、日立製作所・ソニーの中小型液晶事業を統合した「株式会社ジャパンディスプレイ」が発足された。ジャパンディスプレイは、「出版デジタル機構」への投資でも話題の官民ファンド「産業革新機構」が出資、エルピーダメモリの前社長・大塚周一氏が社長に就任した企業で、単純合計では中・小型液晶のシェア世界トップを誇る。

会見で大塚社長は、3社の持つ技術を活かし、台湾メーカーとの連携も模索、急成長分野のスマホやタブレット端末向け液晶パネルを量産する方針を説明。2013年をめどに有機ELディスプレイの量産化について判断していく模様。

中小型液晶パネル事業は、ジャパンディスプレイに次いで世界2位となるシャープが台湾鴻海グループとの提携を発表し体制を強化しているほか、有機ELディスプレイ事業では韓国サムスンが世界シェアをほぼ独占するなど、競争は激化している。

有機ELパネル事業は、米アップルの製品に採用されるかどうかが、成否のカギを握る。スマートフオンなどでサムスンと火花を散らす米アップルヘの供給が決まれば、ジャパンディスプレイの有機EL事業も軌道に乗る可能性があるといわれている。

—————以上ニュース記事より

呉越同舟

3社の統合がうまくいくのか?

ジャパンディスプレイは3社のシナジー効果が期待されていますが、エリート集団が集まれば、必ずしも統合効果がでるとは限りません。一般的に、何故、統合企業の合弁がうまくいかないか?と考えてみたいと思います。

普通に考えると、力ある人達が集まれば、強くなるというのはそう単純な話ではありません。企業には文化があり、プライドがあります。日本の技術者は、「追い込む」、「集中する」、「掘り下げる」こと自体は能力にたけており、世の中に素晴らしい製品を送り出してきた事は疑う余地はありません。ただし、その中ではぐくまれる企業精神もあります。それは各社各様であり、DNAともいうべき伝統の血が流れているのです。

こういった違う文化で育った技術者を集めて、さあ一つなった、一緒にやろうといってもお互いのプライドが邪魔して効率は落ちると推測されます。技術者がまとまるのはそう簡単な話ではないのです。意見が割れた時、まとまれない、従えない、協力できない、決断できないという事態がおきます。如何にチームとして一体化できるかがカギになると考えられます。

バブルがはじけ、銀行も統廃合が繰り返されましたが、出身銀行により派閥ができあがり、内部抗争がたえないと言われます。企業が一つになっても、社員の心が一つになるには時間がかかるのです。

海外企業は多様性をうけいれられる?

世界での企業の合弁自体は、欧米では良くあることだし、従業員も柔軟に対応しているように見受けられます。人種のるつぼのアメリカは、異国の文化や他民族を受け入れることは、日本よりは抵抗がないかもしれません。

逆に、日本人は、そういった変化を極端に嫌う部分があります。異文化を受け入れるのに慣れていません。よって、国や企業のトップが決めたとしても、モチベーションがあがらないまま、夢も抱けず、製品開発に取り組むことになる恐れがあるのです。

ビジョンを共有できるか?

そこで、魅力ある商品を開発するために一番大切なことは、組織として「ビジョンの共有」だと考えます。イノベーションは、「作る」ものはなく、「応える」ものだと言う人もいます。夢のある商品を送り出すApple、世界のあらゆる情報を検索するGoogleが世の中の人の期待に応える商品をどんどん、急スピードで応えています。サムソンも、商機とみるや、組織一体となって一気に攻め込むトップダウン型の強い企業体だと言われます。

ジャパンディスプレイ。決して寄り合い所帯と鄭楡されることなく、ビジョンをもって、強烈なスピードで魅力ある商品を次々と送り出してほしいと願います。

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